HP式レールボンドの特徴

1. HPボンドの概要

HP(Hot Press)式ボンドは、図1のように、概平板のボンド端子に素線(導電線)を加締めて接続したもので、端子裏面には格子状のスリットを設け、予め端子裏面全体にはんだを溶着しています。

このボンドを、平板の端子を糊付けするように、レールにはんだ付けを行う工法で取り付けます。

HP式レールボンド

図1.HP式レールボンド

HPボンド溶接工法の原理

図2.HPボンド溶接工法の原理

低温ろう接式ボンドは、これまで、はんだ自体の強度でレール振動に対応しようとするものが多く、強烈なレール振動によりはんだ破壊が進み、比較的耐久性は低いとされてきました。
しかし、当社のHP式ボンドは、新たな発想でこの問題を解決しました。
HP式ボンドの大きな特徴は、はんだの接合強度(端子面とはんだ、はんだとレール面)によりレール振動に対応しようとするものです。

HP工法原理(平面でレールにはんだ付け)が振動耐久性に非常に優れていること、更に端子形状等レール振動に対応するための様々な工夫がなされていることなどから、溶接式をも凌駕する非常に高い耐久性を示します。

HP式ボンドは、低温ろう接式であることから、レールに組成変成が生じるようなことは無く、取外しも容易で再取付(再使用)も可能です。

2. 技術背景

HP工法は、レールに端子をはんだ付けすることから、はんだ特性が重要な要素となります。レール振動に耐えるはんだ接合強度の実現とPbフリー、Cdフリーで尚且つ融点が低温であることを目標として、福岡県工業技術センター機械電子研究所殿のご指導を頂きながら新しいはんだ材(Sn-Ag-Zn共晶合金)の開発に成功しました(特許第4848331号)。
そして、交流電化区間や非電化区間を対象としたHP式レールボンド工法を公益社団法人鉄道総合技術研究所殿と共同開発しました(特許第4524324号)。

その後、直流用レールボンドの開発に取り掛かりましたが、交流電化区間や非電化区間で使用されるボンドと直流電化区間で使用されるボンドは素線(導電線)の径が異なります。直流電化区間では交流用電化区間に比べて電圧が低い(例えば交流20,000Vに対し直流1,500V)ことから大きな電流を流すことになります。このため、素線の径は直流用では必然的に大きくなります。
素線の径が大きい直流用ボンドは、当然素線重量が大きくなり、端子に働く振動応力も大きくなります。
この振動応力の低減が直流用レールボンド開発の最大の課題でした。
当社は、福岡県工業技術センター機械電子研究所殿と共同で、振動応力の低減と分散を目的とした直流用HP式ボンドの端子形状の開発を行い、交流用ボンド形状に対し、最大応力を14%低減し、応力の作用点を端子内側に移動させる形状を完成しました(特願2012-85354号)。

新型レールボンド

図3.新型レールボンド

これにより、溶接式ボンドをも凌駕する振動耐久性を実現しました。

3. HP式レールボンドの特徴

(ア) 高い耐久性

  • 振動加速度1.2~1.8万G(鹿児島本線での強振動区間のレール振動に相当)の打撃振動試験200万回をクリアし、端子残存溶着率60%以上

(イ) Pbフリー、Cdフリーはんだを使用

  • Sn-Ag-Zn共晶合金を使用

(ウ) レールへの熱影響が小さい

  • はんだ融点が216℃と低い
  • レールに組成変成が生じるようなことは無く、取外しも容易で再取付(再使用)も可能

(エ) 施工が簡素

  • 作業を簡素化(ボンド端子を、専用工具でレールに圧着し、端子の上からバーナー加熱ではんだ付けを行う。)
  • 作業時間も短く、仕上がりも画一化できる
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